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好きな景色をみていたい

映画「九十歳。何がめでたい」を観てきました

以前観に行った映画の前の予告編で気になっていた「九十歳。何がめでたい」の映画を観に行ってきました。佐藤愛子さんの役を草笛光子さん、エッセイを書いてもらう為に佐藤愛子さんの元へ通い続ける編集者、吉川真也さんの役を唐沢寿明さんが演じていました。

(ここから先、ネタバレもあります。)

 

 

90歳で断筆宣言をした作家の佐藤愛子さん。

娘さんとお孫さんの3人で暮らしていても、なんだか張り合いが無さそうです。

娘さんから「たまには誰かとお茶でも飲みに行ったら」と言われても「もう気の合う人は皆んな先に行ってしまった」と引きこもりがちな生活を送っています。

 

家族からしたら心配になりますよね。

 

そんなある日、エッセイの依頼の為に愛子さんの元へ通う事になった編集者の吉川さん。愛子さんは毎回依頼を断るのですがなんだか楽しそう(断る理由が愛子さんの本音なのか建前なのか、色々な理由が出てきます)。

 

そう、編集者の吉川さんとのやりとりに生活に張りが出てきたみたいなのです。

吉川さんに「最後のお願い」をされ一度は断るのですが淋しさもあってか?書く事を決めた愛子さん。

 

その題名が「九十歳。何がめでたい」です。

 

それからは、作家さんなので、愛子さんらしいエッセイを書かれていきます。

 

この映画には、50代の私でもテレビでよくお見かけしたことのある俳優さんが出演されているのですが、吉川さんの部下役や娘役、愛子さんのお孫さん役で若い俳優さんも出演されていました。

 

特に印象に残ったのは片岡千之介さん演じる編集者、水野秀一郎さん。編集部で愛子さんのエッセイの話しが持ち上がって、最初に愛子さんを担当したのですが、一度断られてあっさり諦めます。その後担当になった吉川さんの度重なる訪問で出版が決まったエッセイ集「九十歳。なにがめでたい」がヒットすると、転職先のWEB出版社からエッセイを出さないかと愛子さんの元を訪れる水野秀一郎さんの変わり身の早さ。

出版業界の事は私はよくわかりませんが、昭和的な仕事の進め方なのかな?と思う吉川さんに対して、今の時代の仕事の進め方はこんな感じなのかなと思える秀一郎さんで、対照的な二人がおもしろかったです。

 

 

また、この映画の中心には愛子さんのエッセイの出版からヒットして旭日小綬章を受章されて記者会見をするという流れがあるのですが、その横には吉川さんの人生がさりげなく描かれています。昭和気質で仕事人間で家庭の事を顧みてこなかったのでしょうか、気が付いたら家族は家を出て奥様からは離婚をして欲しいと。それまで自分の目線でしか家族を見てきていなっかたので、理由が判らない。そして娘からの言葉で自分に気が付く。

年を重ねたが故の愛子さんの孤独感と家族を顧みてこなかった故の吉川の孤独感をどこか二人で支えあっているのかな、なんて思いました。

 

90歳まではまだまだこれからの私ですし、実際何歳まで生きられるのかは判りませんが、愛子さんの言葉や、登場する役柄の1人1人にどこか共感できる部分があるのではないかな、と感じました。

そして、佐藤愛子さんを演じている草笛光子さんも90歳になられてるそうです(お元気そうに演じられているのでそうは見えないのですが)。

日々楽しい事ばかりとは言えないですが、仕事でも趣味でもいい、些細な事でもいいので、生活の中にその時その人に合った何か楽しみをみつけていけたら、自分なりに楽しんでいけたら、いいのかな~なんて思いました。

 

この映画は佐藤愛子さんのエッセイ、「九十歳。何がめでたい」と「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」が原作に映画化されています。原作のエッセイも読んでみたいなと思いました。